牛乳キャップ市場Monthlyレポート（2018年11月）

＜今月のピックアップ＞
2018年11月は引き続きヤフオクで1950年代～60年代と思しき古物の大量出品があり、取引が活況を呈しておりました。
そんな中で目を惹かれたのは、香川県酪農農業協同組合の飯山（ハンザン）です。

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香川県酪農農業協同組合は愛媛県酪農農業組合と合併したとのことで、単独での情報はネット上にほとんどないのですが、Wikipediaの四国乳業によりますと四国乳業(株)の株主に「愛媛県・香川県酪農業協同組合」が名を連ねています。また四国乳業の「四国乳業のあゆみ」によりますと、昭和47年に香川乳業協同組合と合併と書いてあり、この時期に傘下の工場が四国乳業に渡ったものと思われます。

有識者に電話取材したところ、飯山ブランドのルーツは、今は無き「飯山町」にあるとのことでした。
飯山町は2005年に丸亀市と合併して消滅した町ですが、飯山ブランドを誕生させた工場は飯山町本町（現在の丸亀市本町）に大正時代から昭和20年頃まで所在していたそうです。
当時は冷蔵手段がありませんでしたので、早朝に加工した「ぬくい」牛乳が悪くなる前に急いで配達していたそうです。牛乳は贅沢品であり、病人や赤ちゃんしか飲めない時代だったようです。
その後、工場は坂出市元町→池園町→府中町のように転々としますが、昭和47年頃に四国乳業の傘下に入るまでは引き続き飯山ブランドが使用されたそうです。

そもそも飯山という地名は「讃岐富士」として知られる「飯野山」にルーツがあるとのことですが、飯野山の南東に広がる丘陵地帯は桃の産地として有名で、その歴史は明治11年（1878年）に遡るようです。（丸亀市の特産品→桃より）

飯野山の桃の花：うどん県旅ネットより

冒頭の写真の「飯山マイン」は桃の絵柄になっていますが、これは地元名産の桃を使った飲み物だったそうで、現在のネクターのような優しい味だったとのことです。
「ハンザン」の方は柑橘系の柄に見えますが、愛媛のみかんでも使っているのですかね。こちらはうっかり聞くのを忘れまして、推し量るばかりです。

ところで、収集家の活動ブログ様によると「広瀬均質牛乳」という銘柄が香川県酪農農業組合に見られます。これは、独自の乳牛をお持ちで小規模に生産、販売されていた広瀬さんという方が香川県酪農農業組合に合流された際、しばらくは独自ブランドでの販売も続けられていたためとのことです。やがては飯山ブランドに統一されたようです。

飯山ブランドの歴史について語っていただいた有識者様に感謝いたします。

＜市場概要＞
ずっとお休みしていた市場概要のコーナーですが、やっと相場サイトが安定してデータを取れるようになってきたため、今月からまたグラフを掲載したいと思います。
（2018年6月～8月はデータがうまく採れなかったので、グレーの網掛けがしてあります。）

全体的なトレンドで見ると、出品件数が少しずつ増えているように見えますが、それにも関わらず、成立件数と成立金額が減っています。
所感としても、1年前であれば結構良い値で落札されていた銘柄が、最近では二束三文でも売れなくなっているように思います。
原因は、繰り返し出品された銘柄が、コレクターのほぼ全員に行き渡ってしまったということに尽きると思います。
レア物が出品されると買い手が殺到する状況に変わりはありませんので、牛乳キャップの世界でも二極分化がみられるということでしょうか。

＜高額取引された牛乳キャップ＞

一枚売りで値段が高かったものをピックアップしました。冒頭に記載の通り、11月はレア物の出品が多く、高値で取引されていました。

順位	画像	銘柄	価格
第10位		ヤフオク！o273619593 京都府 松原牛乳K.K. 松原ホモゲ牛乳	9,512円
第9位		ヤフオク！r279376797 岐阜県 共営牧場	9,561円
第8位		ヤフオク！r282973664 香川県 香川県酪農農業協同組合 飯山生ジュース	9,750円
第6位		ヤフオク！q248944516 香川県 香川県酪農農業協同組合 飯山マイン	10,000円
第6位		ヤフオク！t603775847 愛知県 中央製乳株式会社 中央牛乳	10,000円
第5位		ヤフオク！h350129888 愛知県 鈴村牛乳処理場 鈴村均質牛乳	10,100円
第3位		ヤフオク！b352734450 山口県 中岡次郎吉 タチバナ牛乳	11,000円
第3位		ヤフオク！ 341360343 香川県 香川県酪農農業協同組合 ハンザン	11,000円
第2位		ヤフオク！u233824585 愛知県 中部ヨーグルト	14,500円
第1位		ヤフオク！j522476293 長野県 アルプス牛乳会社 アルプス牛乳	16,000円

牛乳キャップ市場Monthlyレポート（2018年10月）

＜今月のピックアップ＞
2018年10月は牛乳キャップコレクターにとって、かなり楽しい月でした。

10月初旬にはメルカリで安価なレア物を大量に出品するアカウントが現れ、毎日21時頃のに出品時刻になると、待ち構えるフォロワーがまるでカルタ取りのように即時購入する状態が生まれました。
自分も「カルタ取り」に参加したのですが、即座に反応しないと売り切れてしまうので、とにかく何でも買う、というスタンスになってしまい、「お手付き」で収集ターゲットでないものもいくつか落札。。そういったものは交換サイトに登録しました。

10月下旬はヤフオクで昭和20年代～30年代と思しき古い牛乳キャップを大量に出品するアカウントが現れ、これまたオークション参加者が騒然となったのです。
終了時刻が集中したことで、剛腕収集家達の資金もさすがに全てには行き渡らなかったと見え、かなり価値が高そうな品が比較的安値で落札されていました。

目移りしてしまうような逸品がひしめいた10月において、特に目を引いたのがメルカリに出品された「愛國牛乳」でした。
この商品は7,000円で即完売しましたが、ヤフオクに出ていれば万単位の値が付けられていたことでしょう。

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ただならぬ迫力を感じるデザインですよね。かなり古そうですが、やはり戦中のものでしょうか。歴史の重みを感じるような逸品なので、ルーツ探しをしてみることにしました。

調べてみると、「桑名安永」という地名は三重県桑名市のものであることが分かりました。当初は、北海道帯広市にある「愛国町」と何か関係があると思っていたのですが、的外れだったようです。

さっそく桑名市安永の付近をGoogleストリートビューで歩き回ってみたのですが、なんら手がかりになりそうなものは見つかりませんでした。
遥か昔に無くなってしまった弱小メーカーだとすれば、手がかりを探すのは雲をつかむようなもの。
時間も限られていたため探索を諦めそうにもなりましたが、もう少し粘って「KIBA」をキーワードに加えることにしました。

ダメ元な事でもやってみるものですね。。「木場」という地名が近くにあることが分かりまして、それが決め手となり有識者に話を聞くことが出来ました。

「愛國牛乳」のオーナー様は、戦中は士官学校で教鞭をとる軍のエリートでいらっしゃったとのことで、終戦に伴う退役後に牛乳を瓶詰して配達するビジネスを開始されたようです。
軍出身で国を愛する気持ちがひと際強かったため製品名に「愛國」を使用されたそうです。
戦後間もなくから昭和32年頃まではこのブランドを使って販売していたとのこと。当時の日本は戦後復興でとても忙しく、正月も休まず配達していらっしゃったそうです。

昭和32年といえば、西暦では1957年ですね。
それ以前のものですから、やはり、かなり古いものと言えます。今回、歴史的な背景もある程度分かりましたので、大変勉強になりました。

＜高額取引された牛乳キャップ＞

一枚売りで値段が高かったものをピックアップしました。冒頭に記載の通り、10月はレア物の出品が多く、高値で取引されていました。

順位	画像	銘柄	価格
第10位		ヤフオク！x572600840 熊本県 ふくしま牛乳	8,150円
第8位		ヤフオク！c700333506 岐阜県 金華牛乳株式会社 金華牛乳	8,250円
第8位		ヤフオク！h349506946 京都府 松原牛乳K.K. PURE Yogurt	8,250円
第6位		ヤフオク！r277133622 愛知県 内海町農業協同組合 南知多牛乳	8,350円
第6位		ヤフオク！m286034637 愛知県 豊橋牛乳処理場 豊橋牛乳	8,350円
第5位		ヤフオク！h350129888 岐阜県 東海乳業 東海ホモ牛乳	8,850円
第4位		ヤフオク！u230728152 京都府 松原牛乳K.K. 松原ホモゲ牛乳	13,001円
第3位		ヤフオク！ e308722319 富山県 三矢ミルク均質	14,100円
第2位		ヤフオク！j519259958 愛知県 新舞子ミツバ牛乳 Mitsuba	14,500円
第1位		ヤフオク！l478927252 福岡県 青柳酪農業協同組合青柳牛乳	15,542円

AIで牛乳キャップの画像仕分に挑戦 その３

さて、前回はWatsonの使い方について投稿いたしましたので、今回からはマシーンラーニングにより実際に分類機を作って使ってみます。

まずやらなければならないのは、トレーニングに必要な画像を大量に集めることです。

幸い、相場サイトには既に5万枚を超える牛乳キャップの画像が蓄積されていますので、画像が足りなくて困ることは無さそうです。

大量の画像を確保できたら、AIのお手本となるようにそれらの画像を分類してやります。

人力による分類は結構しんどい作業ですが、お手本の数は多い方が精度が高まるとのことですので、頑張るしかありません。
最低限必要な数は分類毎に150枚くらいとのこと。。

赤、青、緑、茶色の牛乳キャップは出現頻度がかなり高いので、ごそっと選択して一気にコピーできます。
が、紫とか黄とか黒はレアなのでイメージを探すのが大変です。
とりわけ黒は少ないのでチマチマとコピーする必要があり、手がかかります。

数時間作業したところで、さすがに飽きてきてきました。
お手本の数がまだ少ないので精度は期待できませんが、とりあえずここらでマシンラーニングをやってみることにします。

緑：164枚	青：161枚	赤：116枚
黄：114枚	オレンジ：104枚	ピンク：99枚
茶：80枚	紫：79枚	黒：24枚

このファイルをZIPで圧縮して相場サイトのサーバにアップロードします。

さらに、そこからZIPファイルとコマンドをWatsonに送ってマシンラーニングを実行するのです。

実行するコマンドは以下のような感じです。

マシンラーニングには数時間の時間を要するのですが、いつ終わるか分かりません。
分類機の状態を調べるコマンドがあるので、定期的にそれで確認することになります。

確認コマンドを実行すると以下のように状態を返してくれます。

マシンラーニング開始直後はstatusが"training"となっていますが、ここが"ready"になると準備完了です。

数時間後、状態が"ready"になりました。

では、トレーニングが完了した色分類機を使ってテストしてみましょう。
テストに使うのはトレーニングで使用していない、ヤフオクの最新出品画像です。

まずは、簡単そうなものから。
→どう見ても「緑」です。これなら間違えようがありませんよね。

相場サイトのサーバにアップロードして分類コマンドを実行します。

実行結果が戻ってきました！

おお、クラスが"green"でスコアが0.925ですね。
強い確信をもって、「緑」と判定してくれているようです。
期待通り！

次はちょっと難しそうなやつ。
背景が緑で、キャップ自体が赤、青の二色刷りになっています。
期待としては「赤」ですが、果たしてどうなるか。。

分類コマンドの結果が戻ってきました！

やりました！分類結果は「赤」ということで、大正解。
優秀じゃないですかワトソン君。

調子がいいのでバンバンやってみましょう。

画像	期待結果	Watsonの答え	コメント
	黄		大正解！
	赤		大正解！ 背景色に騙されませんでした。
	ピンク		大正解！ 青に引っ張られませんでした。
	紫		大正解！ 背景色に騙されませんでした。
	赤		大正解！ 背景色に騙されませんでした。
	黄		大正解！
	オレンジ		青に引っ張られてしまいましたね。できればオレンジがよかったなぁ。
	ピンク		大正解！
	茶色		大正解！ 背景に騙されませんでした。
	ピンク		茶色に引っ張られてしまいました。できればピンクにしてほしかったが。。
	赤		大正解！ 背景に騙されませんでした。
	オレンジ		大正解！ 青に引っ張られませんでした。
	青		何だこりゃ？ 青でも赤でもなくピンクですか？ そんなこと教えた覚えはないっ！
	紫		大正解！
	茶色		紫と赤で迷っているようですな。。 どっちにしても不正解ですが。。

トレーニングに使った画像が少なかったので、まともな結果は期待していませんでしたが、思ったよりもちゃんと分類できたようです。

背景色に騙されずしっかりと牛乳キャップの色を分類しているのがすばらしいです。

間違ったものもありましたので、さらにトレーニングに使う画像数を増やして学習させ、精度を上げていきたいと思います。

次に続く。